FP3級を独学で勉強していると、「相続税の総額の計算」でつまずいて手が止まる人が多いです。学校や講座と違って、独学は「あれ、ここどういう意味?」と思った瞬間に、隣で聞ける人がいないのが一番のハードルです。この記事では、誰にも聞けない独学者でも自力で理解できるように、計算の手順と、自分で答え合わせをする方法まで解説します。
なぜ独学者はここでつまずくのか
相続税の総額の計算は、「法定相続分・基礎控除額」の計算(以前の記事で解説)の延長線上にありますが、そこに「速算表を使う」という新しいステップが加わります。独学者は、この2つの計算が頭の中で混ざってしまい、どこまでが基礎控除の話で、どこからが税額の話なのかが分からなくなりがちです。まずは、この2つが「別の計算」であることを意識するだけでも、混乱がかなり減ります。
相続税の総額の計算、3つのステップ
1課税遺産総額(遺産総額-基礎控除額)を、法定相続分どおりに分けたと仮定する
2速算表を使い、各人の取得金額に税率を掛けて控除額を引く
3各人の税額を合計して、相続税の総額を求める
ポイントは、実際の遺産分割の割合とは関係なく、いったん法定相続分で分けたものとして計算するという点です。ここを勘違いして、実際に分けたい割合で計算しようとすると、答えが合わなくなります。
相続税の速算表
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
例題:課税遺産総額が8,000万円、相続人が配偶者と子1人である場合、相続税の総額を求めよ。
1法定相続分どおりに分ける:配偶者1/2=4,000万円、子1/2=4,000万円
2配偶者の税額:4,000万円は「3,000万円超5,000万円以下」に該当 → 4,000万円×20%-200万円=600万円
3子の税額:同様に 4,000万円×20%-200万円=600万円
4相続税の総額=600万円+600万円=1,200万円
答え:1,200万円
独学者のための「自己チェック」の方法
独学の最大の弱点は、答えが合っているかどうかを確認してくれる人がいないことです。次の2つのチェックを習慣にすると、計算ミスにかなり気づきやすくなります。
- チェック1:法定相続分どおりに分けた各人の金額を全部足すと、課税遺産総額と一致するか確認する(先ほどの例なら4,000万円+4,000万円=8,000万円で一致)
- チェック2:速算表の区分をまたいでいないか確認する(4,000万円なら「3,000万円超5,000万円以下」の1行だけを見ればよく、複数の行にまたがって計算する必要はない)
豆知識:速算表の「控除額」は、本来なら段階的に計算しなければならない税額を、1回の掛け算と引き算で済ませるための工夫です。仕組みを覚えなくても、表の数字をそのまま当てはめれば正しい答えが出るようになっています。
2児の父
工場勤務
独学でFP2級・宅建士合格
私自身も独学だったので、「これで合っているのか」と不安になる場面が何度もありました。そんなときは、自分で似たような数字の問題を作って、上のチェック方法で検算する、というのを繰り返して自信をつけていきました。